2458学校法人西大和学園 西大和学園中学校・高等学校 |
指定第3期目 |
24~28 |
平成27年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題
①研究開発の成果 |
(根拠となるデータ等を報告書「④関係資料」に添付すること) |
A. 各取り組みにおける成果 ① 英語教育の改革 本年度も継続してALT(ネイティブ)による授業「国際理解」を実施した。その結果、SSHを履修する意志があり、かつ英語を好きだと答える生徒が40%を超えている。国際理解の目的は、英語への障壁を減らすことであるため、国際理解がある程度の成果をあげていると考えられる。
② 留学プログラム ハーバード・MITにて実施した「ハーバード・MIT研修プログラム」では約10日間の現地実習を行った。外国の最先端の研究、施設に触れることで、国際性を養った。更に現地の学生と交流を行うことで、生徒の将来に対するモチベーションが喚起された。これらの取組は生徒からの評価も高く、充実したプログラムとなった。
③ スーパーサイエンス講義・講演会 本年度は例年より多く5人の先生に「スーパーサイエンス講義」を実施して頂いた。実際に最先端の研究に取り組んでおられる研究者の講義を聞くことで、進路選択の幅や視野が広がり、生徒が自ら将来を考えられるきっかけとなっている。本年度の「スーパーサイエンス講演会」は「スーパーサイエンス講義」の重視のため実施されなかったが、講義の充実により全体では昨年度よりも高く85%以上の生徒が進路の参考になる、科学技術に対する興味が増すなどと回答した。
④ SSJ(スーパーサイエンスジュニア) 中学1年生に実施した「体験学習」では、自然体験から、文化体験まで約8回のフィールドワークを実施した。本プログラムによって生徒たちの科学に対する興味関心を喚起することが出来た。そうして抱いた興味に対して解明しようと探究心を持って積極的に活動する生徒は80%以上であった。また、中学2年生に実施した「職業研究」では、班ごとに企業が設定した課題に取り組み、問題解決能力、班員との連携能力を養った。今年度は昨年度のプログラム修了者の中学3年生との協力により、より高い効果が得られた。また、クエストカップ2016全国大会 に10名が出場し、優秀賞、企業賞、準グランプリと佳作を獲得した。「卒業研究」では、SSJの集大成として中学3年生が自ら設定した研究テーマに沿って課題研究・実験を行い、その成果を論文にまとめ、全員でポスター発表を2回行った。これを通して、多くの生徒が問題を筋道立てて考え、結論を導くという研究のいろはを学んだ。
⑤ サイエンス研究 高校1年生に対して行った「サイエンス研究Ⅰ」では、今後のSSH活動を通して最先端科学に取り組むための基礎知識、基礎能力を身につけることができた。また、今年度より「SRC」を発展させた、自由な課題研究である「SSR」を実施した。高校2年生に対して行った「サイエンス研究Ⅱ」では、研究室での実習や研究、その成果の発表会を通して主にプレゼンテーション能力、問題発見・解決能力を養うことができた。今年度はラボステイ前の「事前学習会」の実施によって、全ての取り組みで高い効果を得られた。高校3年生に対しては集中講義の「SA(サイエンスアドバンス)」及び本校OBによる研究発表「SN(サイエンスナビ)」を行い、80%以上の生徒が進路の明確化を果たしたと答えた。
⑥ 科学系クラブ 「科学系クラブ」では楽しさという視点から科学に取り組んだ。それによって好奇心の高まりが感じられ、難しい問題にぶつかった時も、チームで考えることで答えを導き出していた。継続して、小学生向けの実験教室を生徒が主体的に実施し、コミュニケーション能力や科学に対する興味を深めるとともに、SSHの効果を普及する一端を担っている。
⑦ SRC(サイエンスリサーチクラブ) 一部生徒を対象とした取り組みであった「SRC」を、高校1年生のサイエンス研究履修生全員を対象とした「SSR」へと発展させた。生徒が自ら研究テーマを設定し、自由に研究を行う中で、研究の手法・技術を学んだ。それを通して科学全般についての好奇心を高め、科学を自ら探求する力を伸長した。またSSH研究発表会に参加し、研究成果を他へ発表し、伝える・表現したことでプレゼンテーション能力を伸長できた。
⑧ スーパーサイエンスOB会 「TA制度」では引き続きファシリテーターとしての活動に重点をおいた。このことによって、生徒の自ら考える力を養うことが出来た。スーパーサイエンスOB同士の交流も活発に行われ、互いに刺激し合うことによってそれぞれのモチベーションの向上につながった。3年の期間を経てファシリテーション方法が確立されつつあるため、TA間の情報共有を強化しその手法を引き継いでゆくことで、今後さらなる効果が期待できる。
⑨ 奈良SSHコンソーシアム・フェスティバル 奈良コンソーシアムでは本校カリキュラムのラボステイを公開し、2校が参加した。奈良SSHフェスティバルでは、奈良県内全SSH指定校が集まり、ポスター発表会を行った。また著名人を講師として招待し、奈良県全体の科学技術への興味関心の喚起を図った。
⑩ 先進校視察 今年度は5校、先進校視察に伺った。全体発表会において実際の学会に近い流れで進める工夫などは、来年度の指導計画を立てる上の参考にした。
⑪ 広報活動 引き続き、SSH通信を年2回発行するなど、広報活動を精力的に行った。そのため、入学者の80%以上がSSH活動を行っていることを知っていたと答え、50%以上が、SSHが入学の要因となったと答えた。
⑫ 運営指導委員会 今年度は4回の運営指導委員会を行った。SSHを運営する企画開発部の組織体制や、発表会の運営方法など、運営側に対する指摘や、生徒の指導方法、発表方法まで幅広く指導していただいたことにより、SSH全体のスムーズな運営、指導につながっている。
B. 国際性の育成について ①英語教育の改革、②留学プログラムにおいて、ネイティブの話す英語に触れることでコミュニケーション能力の向上に加えて、海外の大学や研究機関に対する関心、意欲の向上が見られた。③スーパーサイエンス講義・講演会では、講師の方への質問などを通じて海外での研究体制、研究環境について学び、海外で研究を行うことに対する具体的なビジョンを持つことが出来た。⑤SA(サイエンスアドバンス)では、⑧スーパーサイエンスOB会と連携しながら、身近な科学について英語で学ぶことによって、科学英語への障壁を取り除くことが出来たほか、⑤研究発表会などで英語でのポスター発表を行うことで、全生徒に国際性を向上させようというモチベーションを喚起させることができた。
C. 問題解決能力の育成について ④SSJにおいて研究のいろはを学び、問題解決能力の基礎を育成することが出来た。特に、⑤サイエンス研究では、⑧スーパーサイエンスOB会に所属するTAによるファシリテートを受けながら生徒自身が研究を進めることで、与えられた課題に対する問題解決能力が育成された。今年度は問題解決を行うための基礎知識の学習に重点を置いたことで、より高い効果が得られた。⑥科学系クラブ、⑦SRCにおいては自由に研究を進めることによって自ら設定した課題に対する問題解決能力が育成された。⑦SRCの対象を高校1年生のサイエンス研究履修生全員に拡張した⑤SSRを行った。長期的な研究の問題設定から目標解決までを一貫して生徒が行うことで、自主的に問題解決する能力を養った。④SSJ内の卒業研究では、TAが活動する範囲を広げることで、より効果的な指導が可能となり、問題解決能力の育成に励んだ。卒業研究の成果を発表するSSJ発表会に加えて、進捗を報告するSSJ中間発表会を継続して実施することによって、フィードバックを得る機会を増やし、効果が高まった。
D. 課題研究について ④SSJでは、中学3年生全員に課している卒業研究は生徒、指導教官によってばらつきが大きいという問題があったため、TAの活動範囲を広げることで指導教官の負担を軽減するなど対策を行った。④SSJの体験学習や職業研究で卒業研究へ向けて発表方法習得や問題解決能力の育成を行い、卒業研究で課題研究の基本を身につけ、高校に進学後、大学院にて最先端科学の課題を設定していただき研究する⑤サイエンス研究と、自ら設定した課題の研究に取り組む⑥科学系クラブや⑦SSRのいずれか(又は両方)を選択できるようにすることで、個人に応じた課題研究を行える環境が整っているため、効果を上げることが出来ていると考えられる。 |
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② 研究開発の課題 |
(根拠となるデータ等を報告書「④関係資料」に添付すること) |
(1)国際性・国際感覚を育成する新カリキュラムの作成・定着化 国際性や国際感覚の育成は今期指定の大きな課題である。今年度は「国際理解」や「留学プログラム」の取り組みを継続して行ったほか、それ以外の既存のカリキュラム内での国際性・国際感覚の育成を目指した。例年、論文執筆の際には論文の要旨を英語で作成しているが、本年度は英語で作成するだけではなく作成する目的を生徒が理解できるような指導を行なった。また、文化祭でのポスター発表や、研究発表会での昼休憩の際に、英語でのポスター発表を実施した。スライド発表ではなくポスター発表を行うことによって、生徒同士がより柔軟に質疑応答を行うことができ、英語での発表を行った生徒に加えて発表を聴く側の生徒も国際性・国際感覚を向上させようというモチベーションが上がった。
(2)高校生向けのカリキュラムの改善 高校生向けカリキュラムは、ラボステイに向けた「事前の学習」、大学・大学院での「ラボステイ」、ラボステイでの研究成果の「発表」の3つの段階に分けて体系化されている。本年度は「事前の学習」のカリキュラムを大きく改善することで、「ラボステイ」と「発表」をより有意義なものとすることを目的とした。昨年度までのSS科学の取り組みを事前学習会に変更することで、全てのカリキュラムにおいて成果の向上がみられた。一方で、「発表」の準備段階であるSSプレゼンの効果が他の取り組みに比べて低い水準にあるので、改善が必要である。
(3)中学生向けカリキュラムの充実と、中高接続 本年度の大きな目標は課題研究指導方法の確立と、SSJにおける取り組みの体系化である。中学3年時に行う「卒業研究」を中核として、「体験学習」と「職業研究」をその準備として位置づけ、体系化した。生徒の研究成果の発表の機会として、そして生徒全員がSSJのカリキュラムの全貌を把握するためにSSJ発表会を継続して行なった。また、卒業研究を充実させるために中間発表会を実施した。本年度は中学生全員を対象とした指導の難しさが問題となった。研究成果の完成度をより向上させるために大人数を対象とした効率のよい指導方法の確立が必要である。
(4)SSHOB会とTA制度の進化 SSH TA制度は確立されており、本年度も継続して安定した高成果が得られた。TA制度の存続により、TAの世代交代による引き継ぎの問題が発生した。TA制度をより体系化することで、新たに採用されたTAへの指導を効率化する必要がある。昨年度に引き続き、チーム制度を導入したことでチーム内の意思疎通が用意になり指導は充実したものの、チームを超えた連携が取れなかったためチームごとに指導方法が大きく異なることが問題となった。そのため来年度はチームの枠組みを外した状態でのミーティングを行うなど連携を行う機会を増加させる。 SSJTA制度はSSJの体系化によって指導方法が確立されつつあるが、本年度は教員との連携不足が問題となった。SSJのカリキュラムの改善と確立のために、今後は連携を深めつつ、より柔軟に対応していくことが求められる。
(5)生徒の自主性を伸長するカリキュラムの充実 前年度に引き続き、生徒が自由に課題研究に取り組む環境を提供した。生徒の自主性を伸ばしながらTAによるサポートを加えることで、課題研究の幅の更なる広がりを達成できたと考える。今年度はSRCを発展させ、高校1年生向けにSSRを実施した。一部の生徒を対象に実施するのではなく、サイエンス研究履修生全員を対象として実施するので効果の向上が期待できる。また、発展的な内容を扱う代わりにある程度テーマが制限させるラボステイと、実験環境などの制限から過度に先進的な研究はできないものの自由なテーマを扱えるSSRとの併用によって、サイエンス研究の効果も向上できると考える。
(6)前指定からの既存カリキュラムのブラッシュアップ 前指定から行われているカリキュラムは継続し、安定した実施が可能となっている。これらは3章に掲載されているアンケート結果からも明らかである。
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